▼トヨタ、小型FRスポーツ「86(ハチロク)」正式発表、199万円から(Car Watch)
■ハチロクは若者のクルマ離れを食い止められるのか?
ハチロクは「若者のクルマ離れを食い止める」のが狙いらしい。残念ながら無理だ。なぜかというと、若者だけがクルマから離れているわけではないからだ。
そもそも1990年代に、2ドアクーペから真っ先に手を引き、セダンもラインナップを減らし、「ミニバン+プリウス」2本のみ みたいな売り方を(現在も)続けているトヨタ様が、今さら若者にご機嫌取りとは、これいかに?というところだ。
15年くらい遅い。投入のタイミングが遅すぎ。今さらだよ。
2012年版ハチロクについては、小ヒットはあるかもしれないが、そもそも、クルマが若者にとってステータスでもなんでもないモノになった今、価格を抑えてそこそこのスタイリングで出てきても、基本的に(若者は)見向きもしないと思っている。買うのは40代、50代以上の、二人家族のおっさんか、セカンドカー目的で買うか、そのくらいのニーズしか思いつかない。
2012年という時代に「ミニバンやプリウス」を捨ててこのクルマに乗り換える理由があったら、誰か教えてくれ。
「このラインナップに引き続き、2ドアクーペを次々に投入してくる」という事態にはならないだろう。一過性の話題作りだろうね。これを魚に客をディーラーに呼び込み、プリウスやミニバンでもお持ち帰りしてくれればOK的な。
■大嫌いな「若者の○○離れ」というフレーズ
このフレーズ嫌い。たぶん、それは、かつて若者だったおっさん世代が、おっさん目線で、グルーピングした呼び方。
じゃあ、若者から若者目線でおっさん世代を見たらどう映るか。
「おっさん世代のクルマへの固執」か。「いつまで続く、クルマへの執着」か。
どっちが正しくてどっちが間違っているということではないんだよ。そういう時代にこれからなっていく。若者の世代がこれからの時代を作っていく。景気の問題ではない。時代や概念の問題。価値観が変わってきた。それにはITの普及、シェアするという概念、エネルギー問題、自然災害へのリスクの問題、そういうさまざまな要素から生まれてきた価値観。
そういう、これからの若者世代の価値観を無視したモノ作りは必ず失敗する。
■固定費が高すぎるという感覚の芽生え
さらに価値観を変える大きな問題は、クルマの固定費(維持費)が高過ぎるという感覚が、若者を含む一般消費者にも広がってきた点。
・税金
・車検
・保険
・駐車場代
・ガソリン代
高すぎるでしょ。クルマを使う時間に応じてではなく、持っているだけで確実にお金を吸われる制度。
「使った分だけ、恩恵を受けた分だけ支払う」「人とシェアする」みたいな感覚が全くない世界。
こういうのが当たり前だと思っていた「かつて若者だった」おっさん世代も、さすがに最近、おかしい、と思い始めている。そういう気持ちの芽生えと、クルマ離れは連動する。
■まとめ
今のおっさん世代が20代だったころの社会と、現在とで、時代は大きく変化した。クルマ優位の社会から、クルマが一段降りて、フラットな社会になった。人々の意識が変わった。変わったからには(クルマメーカーは)売り方、作り方を変えないといけないのに、ラインナップを変えたただけで、根本的に何も変えてない。相変わらず、上から目線だ。そこが、クルマが売れない一因。
どうしたら若者を引き戻せるか、という視点でしか物事を見ていないと、大切なものを見失う。まず、現実を見つめること。本当に若者世代を引き戻したいなら、若者が何を考え何を求めているのかを考えること。その結果が、このクルマだったら、たぶん目の付け所が間違っている。そもそも、ハチロクなんていう名前を付ける必要がない。
ITに敏感な若者世代向けの機種ならなおさら、ITとクルマとの融合を、他のラインナップに先行して投入すべきなのになぜそれが無いのか。Salesforceとの提携は何だったのか。それもただの話題作りだったのか。
「若者がクルマから離れた」のではなく、「クルマの作り方、売り方」が時代についていけなくなった、が正解だと思う。


